家族がつける介護記録の書き方と例文
「介護記録の書き方」で調べると、介護施設や事業所の職員向けの説明がほとんどです。家族が家でつける記録は、目的も量も違います。この記事では、家で親の介護をしている家族向けに、何をどのくらい書けばよいかを例文つきでまとめました。
家族の記録は「あとで別の人が読んでわかるか」で考える
施設の記録は、決められた項目を毎回書くことが求められます。家族の記録にはそうした決まりがありません。家族がつける記録の使い道は、主に次の2つです。
- 兄弟や離れて暮らす家族に、親の様子を伝える
- 通院やケアマネジャーとの面談で、最近の様子を説明するときの材料にする
どちらも、書いた本人ではない誰かが、あとから読んでわかることが大事です。そのため、1件ごとに「いつ」「何があったか」がわかれば十分です。きれいな文章にする必要はありません。
日時/見たこと・したこと/(必要なら)次にすること
例:9月16日 12:30/昼食はおかゆを半分。本人は「食欲がない」と話した。/夕食の量も見てほしい
項目ごとの例文
家で記録することが多い項目の例です。例文はすべて架空のものです。
| 項目 | 例文 | 書くときのこつ |
|---|---|---|
| 服薬 | 8:10 朝の薬を飲んだ。1錠を床に落としたので、拾って飲んでもらった | 飲んだかどうかと、いつもと違ったことだけ書く。薬の名前や量は、お薬手帳や薬局の説明書で確かめる |
| 食事 | 昼:おかゆを半分、煮物は少し。「食欲がない」と話していた | 量は「いつもどおり」「半分」など、ふだんと比べた言い方で十分 |
| 水分 | 午前中にお茶をコップ2杯 | 家で使うコップを決めておくと、日ごとに比べやすい |
| 排泄 | 14時ごろ便あり。ふつうの硬さ | 家族のうち誰まで共有するか、本人の気持ちも考えて決めておく |
| 体調 | 36.8℃。血圧128/76(朝食前、座って測定) | 測った時間と、どんな状態で測ったかも書く |
| 様子 | 散歩のあと、いつもより長く昼寝していた。夕方は元気に話していた | 見たことと、本人から聞いたことを分けて書く(次の見出しで説明します) |
| 通院 | 9月2日 内科。食事の量について相談。次回は10月1日10時 | 医師から聞いたことと、次の予定をセットで書く |
見たことと、本人から聞いたことを分けて書く
「夜はよく眠れなかった」と書くと、家族が見ていたのか、本人がそう言ったのかがわかりません。通院で説明するときに、この違いを聞かれることがあります。
本人の話:「夜中に何度も目が覚めた」
見たこと:朝食はいつもどおり食べた。日中に2回うとうとしていた
同じように、「物忘れがひどくなった」のような判断よりも、「同じ質問を午前中に3回した」のように、実際にあったことを書くほうが、読む人に正確に伝わります。
書かなくていいこと
- 毎日すべての項目:変わりがない日は、服薬だけ、一言だけでも構いません。
- 分単位の時刻や細かい割合:「朝」「昼すぎ」でわかれば十分です。
- 本人が家族に知られたくないこと:共有する前に、本人の考えを聞いておきます。
- 病気や薬についての判断:気になることは「医師に聞きたいこと」として残し、判断は医療者に任せます。
続けるための量の目安
記録が負担になって続かなくなるのが、いちばん困ります。ふだんは1日1〜2行で足ります。熱が出た、転んだ、食事の量が急に減ったなど、いつもと違うことがあった日だけ詳しく書きます。
何人かで記録するときは、「訪問した人がその日の様子を書く」「服薬は同居している人が書く」のように、誰が何を書くかを先に決めておくと、書き漏れや重複が減ります。
紙のノートとアプリ、どちらで書くか
どちらにも向き不向きがあります。
- 紙のノート:スマートフォンを使わない人も書けて、実家に置いておけます。ヘルパーさんとの連絡ノートとしても使えます。離れて暮らす家族は、その場にいないと読めません。
- アプリ:離れていても同じ記録を読めて、あとから言葉や日付で探せます。家族それぞれにスマートフォンが必要です。
実家の連絡ノートは紙のまま続けて、家族の間で知らせたいことだけをアプリに書く、という分け方もあります。